【伊江島】世界で1割の希少なラム酒は伊江島だからこそできた!さとうきび100%果汁の「イエラムサンタマリア」
「伊江島物産センター」の浅香 真さんのストーリーを紹介します。
おしゃれなボトルデザインで女性でも手に取りやすい「イエラムサンタマリア(Ie Rum SantaMaria)」というお酒をご存じでしょうか。
県内には、本島・離島合わせて50近くもの泡盛の蔵元があり、沖縄の島酒と言えば、「泡盛」を思い浮かべるにも関わらず、県産ラム酒の産地として定着した伊江島。なぜ伊江島は泡盛ではなくラム酒の名産地となったのでしょうか。
伊江島に泡盛がない背景には、島独特の気候風土が関係していました。川のない伊江島では水はけがよすぎて、泡盛を作るのに必要な原料であるお米が作れなかったのです。
そんな伊江島に、地酒としてラム酒が製造されたのは2011年。
当時をよく知る日本ラム協会認定ラム・コンシェルジュの資格を持つ、常務取締役製造責任者の浅香 真さんに、伊江島蒸留所の魅力をたっぷりと案内していただきました。
工場譲渡をきっかけに島の新しい産業が誕生
伊江島では2006年頃から、さとうきびを利用してアルコールを造る、バイオエタノールを試験製造するための実験施設がありましたが、試験終了と同時に工場が島に譲渡されることになったそう。
当時、島民はこの施設をなにか新しい産業にできないか、と考えました。伊江島には川がなくとも、豊かな大地には広大なさとうきび畑があります。
「島の地酒をつくりたい。」「島のものを使って地域活性化をしたい。」かねてからそう考えていた島の人が思いついたのが、ラム酒のアイデア。
「ラム酒」は、さとうきびが原料。米はなくともここにはさとうきびがある!こうして、糖蜜(とうみつ)などに水を加え発酵させてつくる蒸留酒「ラム酒」というかたちで、伊江島の地酒づくりがはじまりました。
伊江島蒸留所は、一般のお客様も予約すれば無料で見学ができます。まずは、見学室でさとうきびからお酒ができるまでの工程をわかりやすく浅香さんが説明。このためにつくったという動画を視聴できます。(詳しくはこちら)
「世界で見ても作付面積の多いさとうきびを原料にしたラム酒は、実は4万銘柄くらいあるんです。」と浅香さん。
もともとカリブ諸島を代表するお酒で、平均的なアルコール度数が約40~50度と高く甘い香りが特徴の世界4大スピリッツ。
そんなに世界的なお酒だったんですね・・!
カリブ海を舞台に冒険を繰り広げるあの有名な映画の中で、海賊が常に飲んでいたのもラム酒なのだそう。
ところが、世界で造られているラム酒のほとんどは、原料はさとうきびですが、白糖を作る時に出る「糖蜜(トウミツ)」が使用されているとのこと。
一方、伊江島蒸留所には製糖工場はないので、もちろん廃糖蜜は出ません。
そこで、フランスのアグリコール製法という、さとうきびを搾ったジュースを100%そのまま発酵・蒸留して作る、贅沢ともいえるラム酒づくりを目指しました。
世界でも希少な贅沢ラム酒づくりの挑戦
「アグリコール製法だと通年で造ることができず、製造できるのは、さとうきびが一番甘くて美味しい12月終わりから3月までの収穫時期だけなんです。なおかつ蒸溜所が収穫場所の近く、つまりサトウキビの産地である必要があります。」と浅香さん。
限られた製造期間の理由は、さとうきび100%ジュースは、搾った瞬間から劣化が始まるため、保存ができないためなんだそう。
さとうきびは、とても繊細な作物なのです。
伊江島蒸留所では、保存できるようにサトウキビのジュースの水分をぬいて濃縮して保存し、仕込みのときに濃縮還元して使うんだとか。
工場内を見渡すと、タンクには検定した日の日付が印字されたタンクが至る所にあります。
実際に工程を見ながらお話を伺っていると、浅香さんら伊江島蒸留所のメンバーが、味や品質管理、製造方法など様々な問題を一つひとつ解決しながらここまで作り上げてきたストーリーが見えてくるようです。
ホワイトラムの「クリスタル」とオーク樽で熟成した「ゴールド」
いくつもの工程を経て蒸留されたラム酒。味は2種類あり、最後の工程で、ステンレスタンクで寝かせた無色透明の「イエラム サンタマリア クリスタル」と、オーク樽で熟成させた琥珀色の「イエラム サンタマリア ゴールド」となります。
50年以上、ウイスキーの熟成に使われていたというオーク樽。貯蔵室に足を踏み入れると、オークの木の香りとほんのり甘い香りが漂ってきます。
とても意外だったのが、貯蔵庫は温度・湿度の管理をしておらず、そのままの気温。
島の特産品だけを使い、その土地の環境に合わせた気候でつくるからこそ、ここでしか出せない風味がでてくる。
これこそ地酒の醍醐味!素敵です。
ウイスキーが好きな人、お酒の強い人は、まずは「ゴールド」のロックで熟成された香りと風味を楽しみ、少しお酒が苦手な人は、やさしい甘みの伊江島の黒糖シロップを「クリスタル」に混ぜてさわやかに飲むのがおすすめです。
私自身、こんなに飲みやすいラム酒ははじめて。好みに合わせてアレンジができるのは嬉しいポイントですね。
ラム酒といえば一般的に強いお酒ですが、「女性にも嗜んでいただけるよう、デザインや度数も優しいです。」と浅香さん。イエラムサンタマリアの樽や瓶のマークは、海に囲まれた伊江島の周りにテッポウユリをあしらった繊細なタッチが美しいデザイン。
日本にやって来たシーボルトが持ち帰ったことがきっかけでヨーロッパに広まったテッポウユリのように、「イエラム サンタマリア」も世界中で飲まれるように、という願いが込められています。
世界品質の伊江島産地酒、いつか外国で見かける日がくることでしょう。
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