【石垣島】ジャージー牛を愛してやまない、南の島の酪農家が生み出す極上の乳製品
「まぁじゅんのジャージー牧場」のストーリーを紹介します。
ほとんどの人は、「乳牛」と聞くと黒と白の模様が入ったホルスタイン種を想像すると思いますが、日本で飼育されている乳牛のわずか約0.8%にあたる「ジャージー牛」という乳牛種が存在します。
ジャージー牛は、イギリス海峡の小島で、英国王室のために純粋飼育されてきた乳牛種といわれており、ホルスタイン種と比べ体格は2/3程と小さく、乳量も多くありません。
その一方で、乳脂肪率は平均5%以上と世界に数ある乳牛の中でも高く、世界一濃い牛乳とされています。
そんな国内でも希少なジャージー牛を育てている小さな牧場を、南の島「石垣島」で発見!
今回、ジャージー牛の飼養をはじめた「農業生産法人まぁじゅんのジャージー牧場(以下、まぁじゅんのジャージー牧場)」代表の田中英信さんとのストーリーを、乳製品の加工に携わる石井亮司さんに、たっぷりとお話していただきました。
南の島で自由に過ごすジャージー牛
まぁじゅんのジャージー牧場がある石垣島の西部にある崎枝(さきえだ)半島は、石垣島の絶景スポット御神崎(うがんざき)があることや夕日が美しく見えることからドライブコースとして人気のエリアです。
石垣島の自然豊かな場所に位置する牧場は、牛たちにとっても心地よさそう!ですが、まっさきに思い浮かんだ質問は、酪農をするにしても一般的なホルスタイン種ではなくて、なぜジャージー牛なのか、ということ。
「もうそれは、単純にジャージー牛が可愛いから!笑」と石井さん。この日あいにく不在だった代表の田中さんをはじめスタッフ皆、本当にジャージー牛が大好きで、我が子のように愛情を込めて日々お世話をしているとのこと。
田中さんは、大学を卒業後、「自分で食べ物を作る仕事をしたい」と思い、長野県の野菜農家や北海道の酪農に携わってきました。その後、スイスやフランスの牧場で働きながら本場のチーズを学ぶうちに、自分の牧場で牛たちを育て、加工品をつくりたいと思うように。
その後、石垣島に移住した田中さんは、島にある牧場で働きながら土地を探し、2005年にお世話になっていた島人から3頭のジャージー牛を譲り受け、「まぁじゅんのジャージー牧場」をスタートさせました。
「自分が目の行き届く範囲の頭数で、牛も人間も健康で幸せになるような農場形態をやりたい」とう田中さんの思いは強く、牛たちは搾乳時以外、繋がれることなく2ヘクタールある放牧地と牛舎を自由に行き来できるようになっています。
目の行きとどく24頭ほどのジャージー牛一頭一頭に名前をつけていることからも、牛たちへの愛情をひしひしと感じます。
環境を整えストレスのない暮らし
酪農は北海道のイメージが強いのですが、気温の高い石垣島は酪農に向いていないはずでは?その質問にも石井さんは笑顔で答えます。
たしかに本来ジャージー牛は涼しい環境を好むことから、暑さ対策には気を遣い、牛舎は長年考え抜いて設計された、地元の大工さんたちと作り上げた自信作!
天井はポリカーボネートという素材で、太陽光は通すものの熱ははじき飛ばすという、よくできた代物。また、崎枝という場所は海沿いに位置しているため、牛舎は真夏でも風通しが良く、涼しいとのこと。
工夫をしながら飼養することで、牛たちも次第に順応し、台風時期や沖縄の真夏でもバテること無く、毎日もりもり草を食んでいます。可愛らしい顔をしているのに実はとても逞しいのですね。
また、まぁじゅん牧場では輸入される飼料などには極力頼らずに、ミネラル豊富な石垣島の自然に育まれた牧草を牛たちに食べさせています。
「敷地があちらこちらにあるので、牧草を食べつくしたら育っているところに移動させて、なくなった場所にはまた種を植えています。牛さんの糞尿もいい堆肥になるんです。」
ここにいるジャージー牛はストレスなく自由に動き回ることができ、スタッフは色々な手間やコストを削減できて、とてもいい循環型酪農です。
牛たちの幸せホルモンが美味しさの秘密
「ジャージー牛のお乳は基本的に乳脂肪分が高いので、濃厚でコクのある味わいが楽しめるのですが、牛たちが幸せだとオキシトシンが分泌され、さらにお乳に甘みが増すんです。」
愛情に関係する幸せホルモン「オキシトシン」がたっぷり含まれた乳牛のお乳から作るヨーグルトやチーズは、格別に美味しく出来上がるそう。
チーズ加工に携わる石井さんは、気温や湿度でチーズの仕上がりが変わってしまうのがチーズ作りの難しいところ、と語ります。田中さんがスイスで学んだ発酵技術を元に、発酵のタイミングなど色々試してみて、より美味しい乳製品を目指しています。
小さな牧場で牛も人間もより良く暮らす
「石垣島に引っ越して来る前には、北海道の酪農専業地帯で100頭以上もの乳牛(ホルスタイン種)を、朝晩たったの2名で搾る大牧場で数年間働いていました。大勢の牛たちがいるので目が行き届かず異変に気付かなかったり、絞ったお乳をゆっくりと味わう暇もない働き方をしたことから、自分がやるんだったら牛も人間も幸せになるような牧場を経営したいと思いました。」
ウチナーグチで「一緒に」という意味の「まじゅん」のように、垣根を越えて人間も動物も一緒に寄り添って暮らしていくという想いが、社名にも込められているような気がします。
牛も人間も幸せであればあるほど美味しくなっていく。まぁじゅんのジャージー牧場の乳製品は、食べた人みんなをきっと幸せにすることでしょう。
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